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男性の膀胱留置カテーテルを挿入し尿道損傷してしまった…アクシデントと振り返り。

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男性の膀胱留置カテーテルの挿入は難しいですよね。

スムーズに挿入できる場合はいいのですが、抵抗があって途中から全くすすまずにカテーテルが尿道内で屈曲してしまう。

そんな経験あると思います。

これは、私が指導していた後輩看護師の話しなのですが、ある患者さんの膀胱留置カテーテルを挿入し尿道損傷を起こしてしまったことがありました。

今回はそのアクシデントを振り返り、尿道損傷を起さないためにも絶対に注意するべきことについて話したいと思います。

膀胱留置カテーテルを挿入し尿道損傷をしてしまったアクシデント

当時3年目の後輩だったのですが、ある患者さんの膀胱留置カテーテルの挿入指示がありました。後輩は何度か経験もあったので私は介助に入らず1人で挿入することになったのです。

そして、挿入時に抵抗は感じたものの無事に挿入できたと報告を受けました。

しかし、1時間経過しても3時間経過しても尿の流出がなく、管内に水滴程度のみ。

ponpoko
ponpoko
「尿の流出を確認してから膨らませたよね?」

と後輩に確認をすると

後輩看護師
後輩看護師
「ちゃんと尿がでてきました」

と言っていました。

輸液量から考えても流出がないのはおかしいと思い下腹部を確認してみると膨満しているし触るだけでも苦痛表情。

私は膀胱に留置できないと判断し主治医に報告。一旦抜去して再留置するように指示がありました。

そして、膀胱留置カテーテルを抜去したところ尿道口より血尿が一気に出てきたのです。

再度主治医に報告し状況を説明。泌尿器科にコンサルトとなり、やはり尿道損傷をしていることがわかりました。

経皮的での挿入は困難とのことで一時的に膀胱瘻を造設することになったのです。

なぜアクシデントが起きてしまったのか?

なぜ、このようなアクシデントが起きてしまったのか、カンファレンスや後輩との振りをもとに説明しますね。

尿の流出をちゃんと確認できていなかった

まず膀胱留置カテーテルを挿入するときに1番大事なのが、尿の流出の確認です。

後輩看護師は「尿の流出があった」と言っていましたが、振り返りの中では水滴がつくくらいの確認しかできていないとのことでした。

膀胱内にカテーテルが到達すれば、管内にしっかりと流出があります。

つまり、後輩看護師は水滴がつく程度の尿しかなかったのにもかかわらず膀胱内に入っていると判断してしまったのでしょう。

高齢であり前立腺肥大の可能性があった

男性の場合、前立腺肥大による狭窄があると、だいたいカテーテルの3分の2くらい入ったところで抵抗を感じます。

無理に入れようとすると出血をしたり、カテーテルが跳ねてしまいますよね。

目視できないうえに狭くなっている部分にカテーテルを通すのは至難の業です。

この患者さんは既往歴に前立腺肥大の記載はありませんでした。

しかし、70歳代と高齢であり挿入時の抵抗を感じたのであれば患者さん本人が知らないだけであって肥大により狭窄していたのかもしれません。

私自身がそういったリスクを考慮して1人でやらせるべきではなかったと思います。

先輩看護師に相談しなかった

尿の流出確認や挿入時の抵抗などがあったにも関わらず「なぜ先輩看護師に相談しなかったのか?」も重要だと思います。

そもそも、異常だとわかっていなかったのであれば完全に知識不足でしょう。

ただ、振り返りをしてみると少なからず「おかしい」というのはわかっていたそうです。

なのに相談しなかったのにはなぜか?理由を聞くと「そうするべきでした。すみません」との返答。

相談しずらい環境だったのか、自分の中で言えない何かがあったのかはわかりませんでしたが「一緒に見てください」があれば防ぐことができたかもしれません。

膀胱留置カテーテルの挿入時に注意すること

尿の流出がないならバルーンを膨らませない

後輩の事例以外でも、医師や看護師が膀胱留置カテーテルを挿入し尿の流出がないにも関わらずバルーンを膨らませてしまった事例が多くあります。

なぜ膨らせてしまったのか?その理由は様々。

・抵抗なく規定の長さまで挿入できた
・排尿直後や禁食中であったため、膀胱内に尿が溜まっていないと判断した
・先輩看護師より「尿の流出がなくてもバルーンを膨らませても大丈夫」と言われた
・医師に尿の流出がないことを報告したが、滅菌蒸留水を注入してよいと指示された

引用:医療事故情報取集等事業より

このように、医師の指示や看護師の経験値などから尿の流出がなくてもバルーンを膨らませてしまい、それによって尿道損傷を起こしてしまっています

カテーテルが膀胱内に到達したかを判断するためには

  • カテーテルが根元まで入っている
  • 尿の流出がしっかりある

この2つが必須ですので、それを確認できないなら絶対にバルーンを膨らませない。

これが1番大切です。

患者が50歳以上であれば前立腺肥大の可能性を考える

前立腺肥大は年齢を増すことに高くなり、50歳以上であれば30%、70歳以上であれば80%の人にみられると言われています。

だからと言って、みながカテーテルが通らないほど狭窄しているかと言ったらそうではありません。

しかし、50歳以上であれば前立腺肥大の可能性を考え、経験の浅い看護師には1人では行わせないことが必要です。

できれば2人の目で確認が理想。

挿入時の抵抗を感じるなら医師に依頼または泌尿器科にコンサルトすることが大切です。

ponpoko
ponpoko
私の病院では、1年目までは男性の膀胱留置カテーテルは原則禁止であり、熟練した看護師か医師が行うようにマニュアル化されています。

まとめ

男性の膀胱留置カテーテル挿入で尿道損傷を起こした例はいくつもあります。

後輩看護師の場合もそうでしたが、そのほとんどが尿の流出を確認できないのにバルーンを膨らませてしまったことが大きな原因です。

男性の膀胱留置カテーテルを挿入で必須事項は

根元まで挿入でき、かつ尿の流出がしっかりあるか(下腹部を圧迫してみてもOK)

それがなければ、絶対にバルーンを膨らませずに医師に報告し依頼しましょう。

ponpoko(ぽんぽこ)
地方の総合病院で師長をしながら特定看護師としても活躍中 3人の子供のパパ
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