「仕事も遅いし失敗ばかり…同期のみんなに比べて私は成長していない…」
これはね、新人看護師さんからよく聞く悩みですね。
まぁ、自分だけ成長が遅れていると感じたら焦ってしまうしそれが空回りして失敗ばかりしてしまう気持ちはわかります。
しかし、ある医師が言った一言が「私が成長するためのきっかけ」を作ってくれました
そのおかげで、今でも看護師を続けていますし、毎年来る新人にも同じことを伝えています。
今回は新人看護師さんに成長するために大事なたった1つのことを伝えたいと思います。
Contents
新人看護師だった私が成長するきっかけとなった一言
私が新人の頃、受け持ち患者さんが発熱をしていたので主治医に「◯◯さんが39度の発熱があります」と報告したところ医師からこんなことを言われました。
「あのさ、熱があるのなんて素人でもわかるから。変な話し資格なんていらない。でも、お前は看護師だろ?」
この先生マジで怖かったんですよ…でも、この先生が言いたいことって何だかわかりますか?
それがわからいと新人の時の私と同じままです。
答えは「専門職としてなってない」ということ。わかりやすく言えば、白衣は着ているけど中身は素人ということです。
新人の頃は早く業務を覚えようとしがち
業務を覚えることはもちろん大事です。覚えないことには1人前になれないですからね。
でもハッキリ言いましょう
業務を覚えるだけなら資格なんて必要ありません。
例えば、血圧を測るだけなら資格なんてなくてもできますよね?体温を測って熱があることを報告するだけなら、変な話し小学生だってできます。
採血だってサラリーマンの人にやり方を教えて反復練習すればできるようになると思います。(法律違反ですが…)
でも、あなたは国家試験を合格してきた看護師です。素人と看護師の違いってなんだと思いますか?
「アセスメントする力」です。
成長するために大事なのは常に「なぜ?」を意識
先輩看護師やプリセプターに「なんで?」「どうして?」とめちゃくちゃ言われませんか?
毎回なんで?ばかりでお腹いっぱいかもしれませんが、成長するためにはこれがめちゃくちゃ大事なんです。
では、わかりやすく例をあげてみますね。
例①点滴を投与するときの疑問
医師から術後の患者さんの点滴でラクテック500mlを60ml/hで投与の指示があったとしましょう。
指示通りに点滴を投与することも大事ですが、ここで「なぜ?」を考えてみるのです。
- なぜこの患者さんはラクテックを投与するの?
- なぜ投与速度が時間60mlなの?
このように疑問がでてくるはずです。
なぜラクテックなのか?に対して
A看護師:医師の指示だから投与しています
B看護師:術後なので循環血漿量を維持するために細胞外補充液(ラクテック)を投与しています。
この2人の看護師の答えが明らかに違いますよね?厳しいかもしれませんがAは素人でBは専門職と言ってもいいくらいです。
このように、なぜラクテックなのかを理解できれば観察項目も必然的にでてくるようになり、予測や判断もできるようになります。
例②急に発熱した場合の疑問
直腸癌術後の受け持ち患者さんが39.0度の発熱したとしましょう。
熱があることくらい誰でもわかりますが、そこで「なぜ?」と疑問に思ってみるのです。
- 術後の吸収熱なのか?
- 創部の感染なのか?
- CVカテーテルを挿入しているのでカテーテル感染によるものか?
- 術後の無気肺や肺炎によるものか?
このように疑問がでてくるので、その疑問に対しての観察をし可能性を消去していくのです。
「受け持ち患者のAさんは、低位前方切除術後7日目。39.0度の発熱と腹部全体の圧痛、ドレーンの排液が便汁様に変化している」
あくまでも例ですが、疑問を消去していくために観察した結果、直腸癌の手術後で発熱・腹痛・便汁様の排液があることから縫合不全、腹膜炎が考えられます。
疑問の先にあるものは成長
仕事が遅いのは当たり前です。
技術が下手くそなのも当たり前です。
器用にこなす人もいるかもしれませんが、技術や仕事を処理する早さなどは後からいくらでもついてきます。
それよりも大事なのはアセスメントです。
何度も言うように「なぜ?」を考えることで必然的に観察ポイントもわかるようになるし、苦手な優先順位もわかるようになってきます。
何より患者さんの命を守るうえで大事なことです。
人は答えを得た時に成長するのではなく、疑問を持つことができた時に成長する
このような名言がありますが、まさにその通りだと思います。
答えを教えてもらうことは簡単ですが、自ら疑問を持って答えを導き出すことで成長していくのだと私は思います。
自分自身にも「なぜ?」と問いかけてみよう
もちろん患者さんだけでなく自分自身の傾向を分析することも大切です。
「なぜ点滴の更新を忘れてしまったのか?」
「なぜルート確保を失敗してしまったのか?」
指導者の助言を素直に受け止め、どうすればいいかを考えてみましょう。
忘れっぽい性格なのであれば、自分の行動計画を立ててチェックしていくようにするなどの対策が思い浮かぶはずです。
最後に新人看護師さんへ私からの一言
看護師の仕事をしていると疑問にありふれています。学校や教科書で学んだことないことばかりです。
そんな疑問を忘れないようにメモして、先輩看護師と振り返り1つ1つでいいので自分のものにしていきましょう。
その積み重ねが必ずあなたの成長につながります。
だから焦らずに頑張ってください。