術前の呼吸訓練で大切なトライボール。
パンフレットにもとづいて説明したことあると思いますが「実際に使い方があっているのか?」「患者さんへどう指導すればいいの?」と疑問に感じていませんか。
今回はトライボールの使用方法とその看護について説明したいと思います。
トライボールの目的
術後は全身麻酔の影響により気道内分泌物が増えるだけでなく換気も不十分になります。
また、安静や疼痛により呼吸も浅くなり痰の喀出も困難になるため無気肺や肺炎などの呼吸器合併症のリスクがあります。
トライボールを使用することで
- 術前から使用することで呼吸筋を鍛えることができる
- 術後の肺の広がりをよくなり酸素を十分にとりこめる
- 痰の喀出もしやすくなる
このような効果が期待できるため、手術が決まった段階からトライボールによる呼吸訓練を行っていく必要があるのです。
トライボールの適応
全身麻酔で手術を受ける全ての患者さんが対象となる。
その他に、高齢者・肥満・喫煙者・呼吸器疾患などリスクの高い患者さんは積極的に行う必要があります
トライボールの使用方法
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STEP1座位になってもらいます。ベッド上であればできる範囲でギャッチアップする
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STEP2トライボールを垂直に持ち、マウスピースをくわえる前に一度ゆっくり呼吸をする。
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STEP3マウスピースをくわえて息を吸いボールが1番上まで上がった状態を2〜3秒間維持する
ここがポイント
患者さんはボールを多く上げることにとらわれがち。しかし、肺を広げて末端の肺胞まで酸素を十分に行き渡らせるためには、上げたボールを上下しないように2~3秒維持することの方が重要になります。
新人看護師数を多く上げればいいってわけじゃないんだponpoko自分でやってみるとわかるけど、2~3秒維持するためには息を吸い続けることが必要があるんだ。そうすると深呼吸をした時と同じように肺が広がっていく感じがするはずだよ3個あげるよりも、2個を2~3秒維持するようにと患者さんに指導しましょう。
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STEP4
5〜10回を1セットとして1日3セット(朝、昼、夕)行います。
これには明確なエビデンスがありません。私の病院ではこのように指導しているので参考程度にお願いします
吸気量の目安
・1個は600ml/秒
・2個は900ml/秒
・3個は1200ml/秒
看護のポイントは?
では、看護師が患者さんにトライボールを指導するときのポイントについても説明します。
必要性をしっかり説明する
これが1番重要
なぜやらなくてはいけないのか?必要性を理解していないとやらない患者さんは多いです。箱に入ったまま
置きっぱなしになっている光景も時々みます。
業務が忙しいと難しいかもしれませんが、時間があれば一緒に付き添って行うと効果的です。また、患者さんに合わせて目標回数を設定したりしてもOK。
本番は術後
無気肺は術後3日以内に起きることが多いので、早めにトライボールを再開することが必要なんだ。
術後は痛みが伴い呼吸も浅くなるので、術前のようにボールは上げられません。傷む部位を手で押さえながら行ったり、場合によては痛み止めを使ってでもやってもらいます。
過呼吸や血圧上昇に注意
一緒懸命にやりすぎて過呼吸になったり、血圧が上昇してしまうことがあります。
そのため、連続でやらずに1回やったあとは1分は休憩するように指導しましょう。
以上です。ぜひ参考にしてみてください