では、術前の臍処置について「なぜ必要なのか?」「どのようにやるのか?」「いつやればいいのか?」解説していきたいと思います。
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臍処置の目的
臍部は皮膚の中でも常在菌が数多く存在しています。
開腹手術に伴う正中切開。また、腹腔鏡下手術による臍部からポートを挿入などにより、臍部に溜まっている細菌が混入してしまい、創部感染の原因になってしまうリスクがあります。
また、臍垢が溜まっていると消毒効果も落ちると言われています。
主に、術野が臍部にかかる消化器系の手術では必要になる前処置です。
臍に溜まってい汚れが感染の原因になるからキレイにしなくてはいけないんですね。
・術後合併症その⑥「手術部位感染(SSI)と観察のポイント」
臍処置のやり方
やり方については施設によって多少異なると思いますので、今回は私の病院でのやり方で説明します。
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STEP1
必要物品
- オリーブ油
- 綿棒
- 綿球(必要時)
- ガーゼ(滅菌でなくてOK)
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STEP2
臍が深い場合
オリーブ油を直接入れて数分おいてから綿棒を使って臍垢を取り除きます。臍が浅い場合
浅い場合は、直でオリーブ油を垂らすと流れていってしまうので、綿球にオリーブ油をつけてあてておきます。
数分してから綿棒を使って取り除きます。こすり過ぎて傷ができてしまうと、かえってそこが感染源になってしまうので注意しましょう。
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STEP3
看護師2人でダブルチェックをし、臍垢が取り除けているかどうか確認します。
汚れが残ったまま入室して医師から怒られたことがありますよ。
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STEP4臍処置後に入浴し、仕上げにシャワーを使ってきれいに洗い流してもらいます。
術前の臍処置はいつやればいい?
臍処置によって細菌数は減少するが、時間経過に伴って細菌数は増加し処置の効果は薄れる。
細菌の増殖の傾向からみても、少なくても手術開始の4〜8時間前に実施することが望ましい。
つまり、入室する4時間以内にできるのが理想ということでしょう。
ただ、9:30分に入室予定であれば、朝早くから臍処置をしなくてはなりませんし、入室前はバタバタするので患者さんにも看護師にも負担になるので厳しいというのが現実です。
そのため、私の病院では前日の午後に臍処置をして入浴という流れになっています。
もし4時間以内に行うことが可能であれば、ぜひ取り組んでみてはいかがですか?