よく患者さんから「点滴が空っぽになってるけど空気が入っていかない?大丈夫?」と質問されることがあるので、そんな疑問について解説したいと思います。
結論としては、点滴が空っぽになっていても空気は入っていくことはありませんし、仮に多少の空気が入っても吸収されるので大丈夫です。
空気が血管に入るとやばいと世の中的にも周知されているので、そう思われてしまうのでしょうね。
点滴が空っぽでも空気が入っていかない理由
点滴が空っぽになると空気が入るのでは?と不安になる人多いと思いますが、血管の中に入っていくことはありません。
それは、空気が血管の中に入る力よりも血液の流れる力(圧)の方が強いからです。
点滴をしたことがある人なら経験しているかもしれませんが、トイレに行った後などに点滴チューブ内に血液か逆流してしまったことありませんか?
それだけ血液の流れる圧というのは強いのです。
そのため、点滴が空っぽになったとしてもチューブの途中で点滴の液が止まるようになっていますし、むしろ血液が逆流してくることもあります。
血管に空気が入ってしまう場合は?
血液の流れる力が強いので空気が入っていくことはないと説明しましたが、点滴の中身がある場合は別です。
点滴は落差の力で落としています。
腕よりも高いところに吊るしてあるのはそのためです。
その落差の力のおかげで血液の流れる圧よりも強くなるので、点滴が血管の中に入っていくのです。
つまり、点滴の中身がある状態で空気が混入すれば薬液と一緒に血管の中に入ってしまうということになります。
どういった場合に混入してしまうのかと言いますと
- 点滴を始めたとき
- 点滴を交換したとき
- 注射器で薬剤を投与したとき
- 室温の変化
など理由はいくつもあります。
もちろん看護師も注意を払っていますが、それでも点滴チューブ内に空気が混入してしまうことがあるのです。
血管の中に空気が入ると体はどうなるの?
何らかの理由で入ってしまった空気は血液の流れに乗って肺にまで到達し、肺の動脈で詰まってしまいます。
それを空気塞栓(くうきそくせん)と言って、呼吸困難や胸痛などの症状が出現し、最悪の場合は亡くなってしまうこともあります。
これだけ聞くと「やばいじゃん」と思われますが、冒頭でも説明したように少量の空気が血管の中に入ってしまったとしても吸収されてしまうので問題になることはありません。
血管に入ると危険な空気の量
どのくらいの空気量が血管の中に入ってしまうと危険なのか、実は明確なデーターは存在しません。
10ml以上といわれることもありますが、私が医師から教えられてきたのは20ml以上です。
20ml以上の空気を注射器などで一気に血管の中に入れてしまうと空気塞栓を起こすリスクが高いと言われています。
例えば、画像のように点滴チューブ内に小さな空気が入ってしまうことってよくあるんですよ。
この小さな空気の大きさが1cmだとしたら、実際の空気量はチューブの内径から計算しても0.04mlくらいだそうです。
つまり、20mlの空気というのは相当な量であることがわかっていただけたと思いますし、まずこれだけの量が入ることはありません。
わかりやすく注射器に20mlの薬液をいれてみたので参考までにどうぞ。
点滴が空っぽになったら看護師を呼ぼう
点滴が空っぽになったらすぐに看護師を呼んでください。
本来は点滴の投与する時間を計算しているので、終わりそうな時間に看護師が見に来るのが理想です。
ただ、言い訳になりますが忙しくて行けない場合も多くあります。
もし点滴が空っぽになったままでいると逆流した血液が固まってしまい、もう一度針を入れ直さなくてはいけなくなってしまいます。
患者さんはまた痛い思いをするし、看護師は仕事量が増えてしまい、お互いにいいことがありません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今入院しているのですが、
知りたい情報でしたので、すごく参考になりました!
yukiさん
点滴の空気については、多くの患者さんから質問されるんですよ。
でも、この記事でyukiさんの不安が解消されたならよかったです。
1日でも早く回復することを願っています!
コメントありがとうございました。