入院というのは様々な制限の中で療養生活を送るためストレスを感じることが多くあります。
そのため、できれば少しでも居心地よく快適に入院生活を送りたいものですよね。
そなると悩むのが「大部屋にするか個室にするか」ではないでしょうか?
ただ、大部屋でも個室でもメリット・デメリットはありますので、最終的には「入院する上で何を不安に思うか」で決める事を私はおすすめします。
では、看護師として10年以上の経験から、大部屋と個室のメリット・デメリットについて解説していきます
大部屋に入院するメリット
ベットの差額料金がない
大部屋に入院すると基本的には差額料金がかかりません。
当たり前ですが、大部屋であれば個室に入院するより費用が安くすむメリットがあります。
ただし、4人以下の大部屋の場合は以下の条件を満たしていると差額料金が発生することがあるので注意
- 病室の病床数は4床以下
- 病室の面積は1人あたり6.4平方メートル以上であること
- 病床のプライバシーを確保するための設備があること
- 特別の療養環境として適切な設備があること
誰かがいるから安心する
このように、同じ部屋の患者さん同士助け合うことって多くあるんですよ。
大部屋は同室者がいるので気を遣うから嫌だと思われがちですが、逆に誰かがいてくれたから安心したという患者さんの声もよく聞きますよ。
それがきっかけで同室者とも仲良くなって、退院後も定期的に女子会なんてしている患者さんもいますよ。
大部屋に入院するデメリット
プライバシーが保てない
大部屋はカーテン1枚で仕切られているだけですし、隣の患者さんとのベッドも近くプライバシーが全く保てません。
面会に来てくれた友人との話しや、回診で来た先生からの説明などもハッキリ聞こえてしまいます。
しかも、同室者といえど他人ですので、その中で入院生活を送るのはものすごく気を遣います。
周囲の音に敏感になる
例えば、よくあるのが
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大部屋だと周囲の音にめちゃくちゃ敏感になってしまいます。特に静かになる消灯後はなおさら。
周囲の音が気になってゆっくり休むこともできず、かえってストレスになる可能性があります。
全く静かな部屋だってあるので、 こればかりは同室になった患者さんに次第ですね…
気の合わない患者さんもいる
大部屋にで一緒になる患者さんも十人十色です。
よくあるパターンがお節介な患者さん。
これは実際にあった事例ですが
「初めは感じの良さそうな人だと思ってた同室者のAさんでしたが、ことあるごとに話しに割って入ってくるようになり、次第には家庭の問題にまでケチをつけるように…
ストレスになるので部屋を変えて欲しい」
このように、プライベートまでがつがつ踏み込んでくる患者だったそうで、希望通りに部屋を変えて事なき得ました。
これもやはり同室になった患者さん次第です。
病室の匂いに対し不快に感じる
例えば
「吐き気があって辛いのに隣の若い患者さんがカップラーメンを食べている」
「同室者の排泄物の臭いが気になる」
このように匂いに対して患者さんから言われることが実際にあります。
カップラーメンはダメですが、排泄物に関しては仕方の無いことです。
お互い様精神がないと不快に感じてしまい、どちらも嫌な気持ちになってしまいます。
テレビや冷蔵庫が有料
入院中の暇つぶしと言えばテレビですが、大部屋では視聴するためにテレビカードが必要になります。料金は1枚1000円しますし、イヤホンがないと音も聞こえません。
また、冷蔵庫は病院によって違いますが、共用のものもであれば無料ですし個別のものになると有料になってしまいます。
快適な入院生活をおくるうえで必要なものが大部屋ですと費用がかかってしまうので、これもデメリットですね。
急に部屋移動をお願いされる場合がある
患者さんがどの部屋のどの位置のベッドにするかは、病気の状態や経過、介助量によって看護師が判断しています。
そのため、急患や頻回な観察が必要な患者さんなどの部屋を確保するために急に他の大部屋に移動をお願いされる場合があります。
ただし断ることも可能です。
絶対に移動しなくちゃいけないというわけではありません。
個室に入院するメリット
プライバシーがしっかり守られる
個室であれば、面会者との会話や医師からの説明など、どんな話しをしていても外に聞こえることはありません。
もちろん、おならだって気兼ねなくできます。
個室に入院することでの最大のメリットはプライバシーが守られるので、周りに気を使わなくてもいいことでしょう。
設備が整っている
個室は料金によって変わってきますが、快適に過ごすための設備が整っています。
- テレビは無料。
- 冷蔵庫も無料。
- トイレやシャワーは専用。
- ソファーもある
- 専用キッチンがついている。
テレビは無料ですのでカードの残量などを気にする必要ありませんし、イヤホンも必要りません。
シャワーも専用なので予約しなくても時間関係なしに入ることも可能。
特にトイレは大部屋ですと共同になりますが、個室であれば気を遣う必要がありませんし自分のペースでいくことができます。
消灯時間が遅くても問題ない
ほとんどの病院は、消灯時間が21時~22時だと思います。
ただ、普段はそんな時間には寝ないですよね?
昼間寝て夜仕事している患者さんなんかは全く眠れないそうです。
消灯してしまうと、それ以降はテレビを見たり電気をつけて本を読んだりすることが基本できませんが、自分のペースに合わせて消灯時間を遅くしても問題ありません。
同室者もいないので、誰からも文句を言われることがないのです。
個室に入院するデメリット
差額料金がかかる
個室のデメリットとして最も大きいのが差額料金が発生すること。
少し話しがずれますが、1日の入院費用ってどのくらいかかるか知っていますか?
令和元年に生命保険文化センターが行った「生活保障に関する調査」によると、入院1日にかかる自己負担金の平均が23300円となっています。
仮に20日間入院した場合
23,300×20日=466,000円
これに1日あたり1万円の個室を希望したとすると
10,000×20日=200,000円
個室に入院するとこれだけ差額費用がかかってしまいます。
ちなみに、個室の料金は室内の広さや設備の良さによって料金が変わってきます。
私の病院であれば9,000円〜15,000円までの範囲ですが、以前に働いていた病院では30,000円もする豪華な部屋もありました。
静かすぎて逆に寂しい
個室は看護師など人の出入りが少なく、大部屋の宿命である周囲の音も不快に感じることはありません。
そのため、とても静かで快適ですが、逆に静かすぎて寂しく感じるという声もあります。
個室・大部屋のよくある質問
個室に入りたい場合はどうすればいい?
入院が決定した時点で外来のスタッフに伝えましょう。
個室の空きがあれば入院予約としておさえてくれますし、仮に空きがなかったとしても入院先の病棟に申し送られるはずです。
最初は大部屋に入院したけどやっぱり個室がいい場合なども、病棟のスタッフに伝え空きがあれば移ることが可能です。
大部屋の窓際を指定することはできる?
大部屋の窓際は外の景色が見れて病室も明るく感じるため人気があります。
あらかじめ希望しておけば空きがでた場合に移動することはもちろん可能です。
同室者がうるさいから他の大部屋に移ることは?
ベッドの空き状況や他の患者さんの状態をふまえたうえで移動が可能であれば移ることはできます。
逆に、その患者さんが移動になる場合もあります。
とにかく、病室の環境に不満があれば看護師に伝えてるようにしてくださいね。
大部屋が満室だから個室に入ったとしても料金は発生する?
個室の差額料金が発生する条件は、患者さん自身が個室を希望し同意書にサインをした場合になります。
わかりやすい例えで言えば
「感染症の疑いがあり他に感染が広がらないよう隔離が必要となった場合」
つまり、病院側の都合で入った場合は料金は発生しないということです。
ただ、大部屋が満室で個室しか空いてないのを理解したうえで同意書にサインをした場合は料金が発生してしまいます。
交通事故で入院する場合、相手側に個室料金を払ってもらうことは可能?
これは整形外科病棟で勤務していたときによくあったのですが、加害者側に個室の差額料金を請求することができるのかということ。
結論としては、基本的には個室の支払いを認めてもらうことは難しいそうです。
加害者側に差額費用を請求するためには、個室に入院する必要性があるかどうかが重要になると言われています。
【結論】入院するなら大部屋か個室どっちらにするべきか?
大部屋と個室のメリット・デメリットについて看護師の視点から説明させていただきましたが、正直判断するのは難しいです。
大部屋はデメリットが多いと思われますが、結局のところ快適に過ごせるかどうかは同室になった患者さん次第なんです。
つまり入院してみない限りわからないということ。
なら、入院するにあたり自分が何に対して不安があるかで決めるのも1つだと思うのです。
「入院費用が心配」「誰かが居たほうが安心する」なら大部屋
「いびきで同室者に迷惑をかけるのが心配」「とにかく気を遣いたくない」なら個室
このように考えてみてはいかかですか?
最後まで読んでいただきありがとうございました。