片側に胸水が貯留している患者さんを側臥位にする時は患側が上にしたほうがいいはずなのに、患側を下にする方がSPO2が安定するんだけど…
このような経験ありませんか?
では、患側を上にするか下にするのか?どちらが正解なのかについて今回は解説していきたいと思います。
基本的には患側(胸水貯留側)が上
教科書や先輩などから教わったかもしれませんが、基本的には患側が上になる方がSPO2も安定します。
その理由としては、下になっている肺は重力の力によって血流が増加するからです。
血流が増加するということはガス交換が効率的に行われるので酸素化が良くなります。つまりSPO2も上昇するということ。
逆に、胸水が貯留している側の肺を下にすると血流は増加するのに、ガス交換は上手く行われなくなってしまいます。
このことから、患側を上にすることが理想と言われていますが、ここで1つ疑問に思うことが…
「健側を上にした方が肺が広がりやすくなるのでは?」
患側を下にした方が呼吸が安定する場合もある
「肺を広がりやすくして酸素を取り込みやすくする」
と実習の時に言ってきたように、肺の広がりを考えれば健側を上にしたほうが本来通りの働きができるのでは?と思いませんか?
下になる肺は圧迫されてしまうため、肺の広がりが悪くなることが考えられます。
実際に健側を上にして肺を広がりやすくした方がSPO2が安定することも実際にはあるんです。
なら、結局どっちにするべきなの?
【結論】患側が上か下かに正解はない
結論としては、正解はありません。
しかし、カッコつけた言い方をしてしまいますが、教科書通りの症例ばかりではないということです。
現に、患側が上でSPO2が安定し呼吸が楽になる場合もあれば、その逆もあるんです。
実際にポジョニングをしてみて、SPO2の値だけでなく、呼吸数や深さ・音、それに患者さん自身の声を総合的に観察してアセスメントするのが正解なのではと思います。
また、片側の胸水貯留ということは肺炎による炎症性のもの(浸出性胸水)が多いため、体位ドレナージを考慮したり、褥瘡発生なども視野に入れていくことが大切ですよ。
ぜひ参考にしてみてください。