採血は看護技術の中でも1番最初にぶち当たる壁ではないでしょうか。
「私は不器用だからいつも一回で成功しない」と落ち込んだり「下手くそ、上手な看護師を呼んでこい」と患者さんに言われて自信をなくしたり…
このように、採血に対して苦手意識を持っている1〜2年目の看護師さん多いと思います。
でも、その失敗から採血が上手くなるために必要なコツを学んだからこそ、今では採血が取れない時のピンチヒッターにまで成長することができました。
今回は、採血が上手くなる3つのコツ
- 万全な準備で採血をする
- 最適な血管選択をする
- 誰よりも多く経験する
についてまとめましたので解説していきたいと思います。
Contents
採血が上手くなりたいなら万全な準備をしよう
例えば、スケールは違いますが手術もそう。
万全な状態で手術をするために、たくさんの検査や手術前からの血糖コントロール、必要な手術器具の準備をしたりするわけです。
採血も同じであって、成功するためには
- 必要物品はちゃんと揃える
- 患者さんの体位を整える
- 採血しやすいように環境を作る
など万全な準備をした状態で採血することを意識してみましょう。
必要物品をしっかり揃える
何でもそうだけど、必要物品がちゃんと揃っていないとダメ。
そういう時こそ高確率で失敗しやすくなります。
患者さんに合わせて真空管orシリンジどちらで採血するかなども考えながら必要物品をしっかり準備していきましょう。
患者さんの体位を整える
これは結構やりがちで、採血する部位が不安定な状態だと失敗する可能性がマジで高いです。
仰臥位にしたり、腕が不安定なら枕を入れるなどして安定させる必要があります。
自分が狙う血管に対して患者さんの体位は適切かどうかをしっかりと考えましょう。
採血しやすいように環境を作る
例えば
- ベッド柵が邪魔でやりづらいならベッド柵を外す。
- ベッドが低くて中腰になってしまうなら高さをあげる。
- 物品を置く位置を考える
- 患者さんの椅子に座ってやる
- 緊急性がなければ可能な限り時間に余裕をもって行う
また、真空管採血の場合は片手でスピッツを入れ替えていきますよね?
もし右手でスピッツを入れ替えるとしたらどちらの画像の方がやりやすいと思いますか?
正解は左の画像です。
右の画像のように手を伸ばさないと届かない位置にスピッツが置いてると、途中で針の位置がずれたりし血液の流出が止まったりと失敗するリスクが高まります。
左の画像のように、スピッツや固定用テープなどの必要物品は自分が簡単に手の届く範囲に準備することが大切です。
忙しかったりするとどうしても省いてしまいやすいですが、このように一手間を加えるだけで採血がしやすい環境を作ることができます。
採血が上手い看護師はみんな万全な準備がしっかりできているはずです。
上手くなるためには最的な血管選択が超重要
採血が上手くなるためには血管選びも大事なコツです。
弾力のない血管というのは、刺しても逃げやすくもれやすいので失敗する可能性があります。そのため、採血に適した理想の血管を指の腹で触れて確認します。
- 表在性がある
- 弾力がある
- 真っ直ぐ
この3つを兼ね備えた血管が1番の理想ということ。
まず狙いたい血管は肘窩部
肘窩部の静脈は太くて弾力もあることから採血に適しいます。
血流も多いので、途中からポタポタになって「お願い…もってくれ」と祈るようなこともなくなります。
肘窩部には、肘正中皮静脈や橈側皮静脈、尺側皮静脈がありますが、尺側皮静脈には太い神経(正中神経)や上腕動脈が走行しているので避けたほうがいいです。
肘正中皮静脈や橈側皮静脈を選択しましょう。
まず始めにこの血管を狙いましょう。
肘窩部がダメなら前腕か手背の血管
もし肘窩部の血管が見えない触れないのなら、前腕か手背の血管を狙っていきましょう。
まず前腕で探す場合に注意したいのが、手関節付近の橈側静脈。ここは、比較的血管が表在していて弾力もある場合が多いんですが、神経損傷のリスクが高いので避けるのが無難です。
それ以外に、弾力があって真っ直ぐな血管があるかを見つけてみましょう。
手背の場合は表在しているのでわかりやすいが、血管が動きやすかったり関節が邪魔で穿刺しにくくなります。
また、肘窩部のように太くないので少しずれただけで血液の流出が弱くなったり、最悪もれてしまうこともあります。
手背から採血する場合は
- しっかり血管を固定する
- 角度をつけすぎない
- 安定させるために翼状針を使う
これがポイントです。
それでもダメなら足の血管から
肘窩部も手背もダメなら足の血管(足背静脈や大伏在静脈)を狙います。
個人的には、弾力もあり真っ直ぐな大伏在静脈のほうが採取しやすいのですが、内果部(くるぶし)が邪魔になって穿刺する際に角度がつきやすいので注意が必要です。
また、肘窩部などよりも痛みが強く伴う場所なので、足の血管はどこを探しても見つからないときの最終手段にしてください。
以上のことをふまえ、①弾力があって②真っ直ぐで③できるなら表在している血管を指の腹を使って見つけてみてください
この血管探しが上手くなれば、採血も絶対に上手くなります。
上手くなりたいなら誰よりも多く経験する
3つ目は、やはり経験です。
いいか、教科書通りの症例なんて1つもない。だから外科医は実際に数を切ることでしか成長しない。
引用:ドラマ「医龍」より
医龍で朝田(坂口憲二さん)が言っていた名言ですが、採血でも同じことが言えます。
採血においても教科書ような血管ばかりではありません。患者さんによっては血管が蛇行していたり深かったり、固かったり細かったりと様々です。
多くの経験を積むことで、途中で血液が引けてこなくなるような状況になっても落ち着いて対処できるようになります。
何よりも成功体験が自信にもつながるので、上手くなるためには誰よりも多く採血を経験しましょう。
まとめ
採血が上手くなるためには、万全な準備をし最適な血管を選択できるようになりましょう
そして、誰よりも多く経験しましょう
そうすれば、きっと採血が上手い看護師になれると思いますよ。
採血の応用編の記事もあるので、よかったら合わせて読んでみてください。